ASHFORD Story_3 /アシュフォード 1990年代前半の画期的モデル
ASHFORD Story
第三回 アシュフォード1990年代前半の画期的モデル
システム手帳は、誰でも簡単に使えるシンプルな道具です。
上質なレザーをまとったバインダーは道具としての魅力に富み、所有欲を盛り上げます。自分のスタイルや目的に合ったリフィルを選び、活用することで、仕事も日常生活もどんどん快適になっていきます。
この連載「ASHFORD Story」では、アシュフォードのシステム手帳とその背景にある物語を熱く語りながら、無限に広がっているシステム手帳の楽しさをお伝えしていきます。
今回は、システム手帳の成熟が深まった1990年代から2000年代前半に登場したエポックメーキングな2つのサイズ「マイクロ5」と「HB×WA5」を辿ってみることにします。
アシュフォードが創業した1986年から1990年にかけて、バイブルサイズの「プレスコット」が登場し、バイブルサイズよりも約2倍の筆記面積を持つA5と、携帯しやすいミニ6が続々と登場し、システム手帳の主要3サイズが一気に確立されました。
この時代から30年以上を経た現代でも、この3つのサイズは、システム手帳を選んだり、使い分けをするときの基本となっています。
この基本の陣形に、新しいサイズが加わったのは1994年。胸ポケットに入る最小サイズの「マイクロ5」です。当時は、マイクロ5で7シリーズがあり、さらに「名刺フォン」というマイクロ5に名刺入れの機能を加えたシリーズがありました(写真上は、初代名刺フォンのひとつ「G・KIP(ジー・キップ)」)。
マイクロ5のリフィルのサイズは縦が105mm、横が62mmで、ジャケットは名刺を収納するのに最適な大きさです。名刺入れと手帳の機能を合体させた初代のモデルは大ヒットとなり、1995年以降に名刺フォンは大ブームとなります。
1995年はWindows95が登場し、誰でも簡単にインターネットに接続できるようになった年です。しかし、外出先でネットに接続して、メールや画像のやりとりをしたり、書類を添付して送る、などという時代はまだ10年以上先のこと。
当時、外出先で連絡をする基本は公衆電話だったので、電話番号を記録したアドレス帳を持ち運ぶことが必須でした。会社の外で活動するビジネスマンにとって、名刺入れとアドレス帳、そしてメモという機能が最小のサイズで合体している名刺フォンは画期的な存在だったのです。
当時の名刺フォンと同じ機能を持つシステム手帳は、現代でも「マイクロ5+名刺入れ」などを多彩にラインアップしています。
写真上は、定番シリーズの「ディープ MICRO5 11mm」。名刺入れに加えて、カバーの裏面にはファスナーポケットを付けています。ペンホルダーは可動式で多様な太さのペンに対応するなど、当時の名刺フォンをさらに進化させたモデルといえるでしょう。
現在アシュフォードのマイクロ5は、約30アイテムをラインアップしています。
メモに徹した最小サイズのノートタイプや、お財布機能を持つ収納ポケット充実型、2つのリング金具を活用できるダブルリフィルパッドなど、モデルの形態は多彩に拡大しています。ジャケットのレザーの種類も多彩です。
定番の牛革をはじめ、希少で高級なクロコダイルを使った「クロコダイルスクエアバック」など、実用を超えた大人の趣味の世界が広がっています。
アシュフォードでは、マイクロ5のリフィルの品揃えをかなり充実させているので、お気に入りのジャケットと組み合わせることで、自分のライフスタイルに合った豊かな手帳生活を送ることができます。
手帳の意味を辞書で調べてみると、「いつも手元におく小型の帳面」と書かれています。ある程度の筆記面積を確保しながら携帯しやすいようにタテ型になっているのが手帳の法則といえるでしょう。このタテ型の概念を突破したサイズが「HB×WA5」です。
HB×WA5の初代モデルは、2010年に登場しました。誰も見たことがない、新しいフォーマットなので、多様なスタイルに対応してもらえるように一気に4モデルをリリースしました。
そのうちのひとつが「フィナード」でした(写真上)。上質のキップ革に、リザードの型押しを加えた高級シリーズで、現在の人気シリーズ「ネオフィナード」の元祖的な存在です。
HB×WA5の名称は、「高さ(Height)がバイブル(Bible)、幅(Width)がA5」に由来しています。
A5並みの筆記面積と、手帳としての携帯性を合わせ持っています。リング金具はバイブルサイズと同じなので、ブックマークや補強シール、パンチなど多彩に揃っているアクセサリーがそのまま使えるのも魅力です。
2010年冬に展開した広告のキャッチコピーは「システム手帳革命」でした。
タテ型が主流のシステム手帳の中で、ほぼ真四角なHB×WA5の登場はアシュフォードにとってまさに革命的だったのです。
写真上は、2010年に登場したHB×WA5の定番シリーズ「ローファー」に、当時一新したデザインの見開き1週間バーチカルのリフィルを装着した状態。
HB×WA5は、バイブルサイズを横に拡大した「ワイドなバイブル」です。
紙面が横に広がったことで、情報を1行で納めやすくなっています。1行の情報が整然と並ぶことで、それぞれは見やすくなり、一覧もしやすい特長があります。
紙面が見やすい=魅せる、映える、ことに気づいた方は、SNSなどで自分の手帳スタイルを紹介して、多くの「いいね」を獲得し、さらなるHB×WA5の深みにはまって楽しんでもらっていただいています。たっぷりとした横幅は、写真や資料の貼り付けにも重宝します。つまりデコりやすいのです(上写真)。
タテ長という手帳の鉄則からの解放は、便利だけでなく、多くの楽しさも生み出したのです。